2006年10月19日

はなをくんくん

 『はなをくんくん』

ルース・クラウス 文
マーク・サイモント 絵
きじまはじめ 訳
福音館書店 発行

寒くて長かった冬が終わり、春のおとずれを感じることは、人間にとっても動物たちにとっても大きな喜びです。
雪の降る森の中、動物たちは体をまるめて冬眠中。
野ねずみも、くまも、小さなかたつむりも、りすも、山ねずみも、みんな目を閉じてぐっすり寝ています。でもなんだか目をさましたみたい。そして、ちょっぴり寝ぼけまなこで鼻をくんくんしています。
何かに向かって走り出しました。いったい何が起きたのかな??
最後に黄色い色のついたお花を見つけて、そのお花のまわりに動物たちが集るという場面は、ほんとうに春が来た喜びに満ち溢れています。

やわらかいタッチの美しい絵と詩のような文です。
きびしい冬が終われば、春が来るという自然の摂理と喜びを、ごく自然に無理なく子どもに語りかけ、共感をよびます。
*****
ルース・クラウス(Ruth Krauss) 
1901年~1993年。
アメリカを代表する詩人、劇作家、そして児童文学者。子どもをよく観察し、言葉遣いやものの見方を大事にした作家だといわれています。
「自分の作品のすべては、子どもたちからもらったすてきなことごとを、子どもたちに返すための作業の結果です。」と語った話も残っています。
彼女が文章を提供し、モーリス・センダックやマレ・シモンらと組んだり、夫のクロケット・ジョンソンと作り出した本もたくさんあります。

マーク・シーモント(Marc Simont)
マーク・サイモントと表記されているものも有り。
1915年、フランスのパリに生まれる。
父親はスペインのイラストレーター、ホセ・シーモント。幼少時代をスペインで過ごし、1926年、アメリカ、ニューヨーク州ニューロシェルに一家で移住。
1932年、パリに戻り、アカデミー・ジュリアンで絵画を学び、3年後再び渡米。
ニューヨークのナショナル・デザイン学校で学んだ後、1939年から、子どもの本の仕事にかかわる。
第二次世界大戦中、3年間アメリカ陸軍に在籍。1
949年、「はなをくんくん」(コルデコット賞オナー)「大きいもりと小さな家」出版。
1951年、「ポリーの麦笛」で作家として認められる。
1956年、かの有名な「木はいいなあ」を出版、コールデコット賞を受賞。マーク・サイモントと表記されているものもありますが、1996年から、より正確な発音による表記に改められました。

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おちゃのじかんに きた とら

『おちゃのじかんに きた とら』

ジュディス・カー 作
晴海耕平 訳
童話館(1994)

ある日、ソフィーとお母さんが台所でお茶の時間にしようとしていると、突然、玄関のベルが鳴り、なんと大きなとらがやってきました。
「ごめんください。ぼく、とてもおなかがすいているんです。お茶の時間にご一緒させていただけませんか?」ととらが礼儀正しくお願いすると、「もちろんいいですよ」とお母さん。
こうして、ソフィーたちはとらと一緒にお茶を飲むことになります。
とらは家中のものを食べてにこにこで帰っていきます。そこへお父さんが仕事から帰ってきます。ふたりがあったことを全部話すと、お父さんは、レストランに行こうと提案します。帰りにとらがまた来てもいいようにタイガーフードの缶詰も買って帰るのですが、それ以来、とらは現れなかったというおはなし。

この非日常的な出来事が子供心をつかんではなしません。異常なのに平常なところが大人までもとりこにします。
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ジュディス・カー 
著名なドイツ・ベルリン生まれ。
人作家の娘として生まれた。ナチスの手を逃れて1933年にドイツを離れ、スイス等を経てイギリスに移る。著書に「ヒトラーにぬすまれたももいろうさぎ」「もう一羽のがちょう 」 等。

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ちいさなうさこちゃん

『ちいさなうさこちゃん』

ディック・ブルーナ 文・絵
いしいももこ 訳
福音館書店(1964)

ある晩、庭のまんなかに天使が立って、ふわおくさんに言いました。
「よくおききなさい あなたに じき あかちゃんが できますよ」。まもなく本当に生まれたかわいい赤ちゃんを見に、たくさんの動物たちがやってきます。
けれど、うさこちゃんは赤ん坊うさぎ。大勢のお客にくたびれて、頭はこっくりこっくりこ・・・・・。

おなじみのこのうさぎの子。
“ミッフィー”というのは講談社版。“うさこちゃん”は福音館書店版なのだそうです。

1955年にオランダで出版され、日本で紹介されたのは、1964年。以来多くの支持を得ています。
この絵本の素晴らしいところは、ひとことで言うと、シンプルさ。「ブルーナ・カラー」と呼ばれる赤、黄、青、緑、茶、グレーの6色で描かれた絵本は、小さい子どもをひきつけます。
一見、無表情に見えるうさこちゃんの表情ですが、子どもたちはだからこそ、イメージを膨らませることができます。
石井桃子さんの訳も名訳です。「子どもがはじめてであう絵本」としてシリーズ化され、「ブルーナのゆかいななかま」シリーズに続くなど、子どもの成長とともにおはなしも続きます。

石井桃子さんの名訳は、その後4集以降松岡享子さんによって引き継がれています。

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石井桃子 
1907年3月10日、埼玉県生まれ。
日本女子大学英文科卒。
編集者として新潮社の「日本少国民文庫」、岩波書店の「岩波少年文庫」「岩波の子どもの本」の編集を担当。
「ノンちゃん雲に乗る」で文部大臣賞受賞。
翻訳書は、『クマのプーさん』、『プー横丁にたった家』、『トム・ソーヤーの冒険』など。

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2006年01月08日

ぐりとぐら

『ぐりとぐら』
なかがわりえこ著
おおむらゆりこ絵
福音館書店(1967)
   
参考サイト 福音館書店「ぐりぐら」のページ


野ねずみのぐりとぐらは森で大きな卵を見つけました。大きな卵からは、大きなカステラができました。
このあまりに有名な絵本は、最初『たまご』というタイトルで、福音館書店の雑誌「母の友」に、読み聞かせのための物語として掲載されたのだそうです。
ぐりとぐらが生まれたのは1963年です。昭和38年生まれですね。

飽食の時代とはほど遠かった昔、作者の中川季枝子さんは、子どもたちをびっくりさせたくて、この物語を書いたそうです。まず、大きいたまごでびっくりさせて、次はカステラでびっくりさせる・・・好奇心いっぱいの子どもたちをあっと言わせたかったという中川さんは、本当に子ども心がわかる人!
この絵本の思い出の中には、「おはなし」と一緒に「おいしさ」までミックスされています。

「ぐりぐら」を読んでもらって育った人が、また自分の子どもを「ぐりぐら」を読み聞かせて育ててる・・・そんなロングセラーの1冊です。

投稿者 moritomo : 23:36 | コメント (1) | トラックバック